Requiem pour Hanamachi カセットテープ(5月30日発売予定)
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全體を貫くは、帝都の夜の瓦斯燈の如き、妖しくも物憂げなる氛圍氣で御座います。西洋傳來のピアノの流麗なる旋律も聞こえれば、得體の知れぬ電氣的音響や、機械の軋むが如き雜音が、突如として割つて入る。これは、現代の藝術家が試みる、新たなる音の實驗なのでありませう。 中でも、女聲の詠唱は、實に印象的で御座います。ある時は夢の中の囁きの如く甘美に、ある時は狂氣の淵を覗くが如き叫びにも似て、聽く者の心を捉へて放しません。日本語の歌詞と思しき言葉の斷片が、幻惑的な音響の合間に浮かび、また消えてゆく樣は、あたかも映畫の斷片的な場面を觀るやうでもあります。 曲調は實に多彩にして、目眩くやうに變轉いたします。或いは、薄絹を纏ひて夜風に吹かるるが如き退廢的な小曲もあれば、工場の喧囂を其の儘寫し取つたかのやうな、猛々しき工業的音響も聞かれます。また、西洋の黒人音樂の風情を漂はせる、小意氣な律動に乘せた曲もあり、更には、深き森の靜寂を思はせるやうな、持續する音の世界も廣がつてをります。 この多様性は、混亂せる現代都市の縮圖とでも申せませうか。美しきものと醜きもの、靜謐と喧囂、夢と現實が、渾然と一體となり、聽く者を奇妙な陶醉へと誘ひます。しかし、その根底には、一貫してメランコリックとでも云ふべき、寂寥たる情感が流れてゐるやうに感じられました。 總じまして、これは、月光の下で開かれる、秘密の夜會の記錄の如き音盤集で御座います。甘美な毒を含み、一度聽けば、その妖しい魅力に囚はれること必定。前衛的なる藝術や、世紀末的な氛圍氣を好む方には、格別の感興を呼ぶものと存じます。讀後感ならぬ、聽後感とでも申せませうか、實に強烈なる印象を與へる作品でありました。 聴けば魂、奪はるゝ――失はれたる夜想曲、大正ミステリ。 https://tales.note.com/office_mikado/wuzrnb9i0hjoj
1 | Requiem pour Hanamachi (1st Movement) |
2 | Requiem pour Hanamachi (2nd Movement) |
3 | Requiem pour Hanamachi (3rd Movement) |
4 | Requiem pour Hanamachi (4th Movement) |